河口湖だより



3月号
【手をかけることで新価値が創造される】

 この冬、記録的な大雪が報じられる日本海側の日本列島の一方、太平洋側では、乾燥注意報と低温注意報が出されるというのも地球温暖化現象の表れでしょうか。一月半ばに積もった雪が凍ってしまって、日差しは強く照っていてもなかなか溶けない日々が続いています。

 外の作業が出来ない河口湖道場の練成会では、献労の時間には、雪の中での献労に加えて、杵音高く臼で餅つき献労をすることが多くなっています。陰陽の摂理によって釜戸で薪を焚いて餅米を蒸し、臼に入れて杵で汗を流しながら餅をつく。餅米を完全に潰したところに新価値の創造として餅ができ上がる。餅米を人間の我と喩えるなら、我が無い世界が神の創造される天国と云うことが出来ると思います。つきたての餅を大根おろしや納豆と混ぜて美味しく戴く練成員の明るい表情に実相が顕現いたします。近頃では、餅つき機械で餅つきする人が多くなっていますが、手をかけて汗を流して餅をつく中に真理が育まれます。



 自然界では、私達が知らない生物多様性の営みを発見することが多いものです。昨年、一昨年の秋でございましたが、私が六年間教化部長を務めた、富山教区の信徒の方が、カマキリの卵について報告して下さいました。カマキリが卵を産む時には、その冬に雪が積もる上に卵を産み付けると云うことです。私も在任中、興味を持って観察いたしましたが、その通りでございました。報告によると、カマキリが非常に高いところに卵を産み付けていると云うことでした。一メートル以上まで雪が降るのかとその人は心配して居られましたが、その通りとなってしまいしました。日本海側の雪の多い処で生活される皆様には、心からお見舞い申し上げます。

 厳寒の空に鮮やかな姿を浮かび上がらせて、無言の真理の説法を説いてくれる霊峰富士山に象徴されるように、素晴らしい大自然の中で開催される富士河口湖練成会は、自然と共に生命萌え立つ練成会です。道場員一同、皆様方の各種練成会へのご参加を道場を浄め尽くして心からお待ち申し上げます。

平成24年3月