河口湖だより



10月号
【手をかけて森林再生を】

 八月十七日から十九日にかけて宇治別格本山において、開催された盂蘭盆供養大祭、大盛会の裡に行われた由、お聞きいたしました。その中で行われる浄火祭では、霊牌を炭化するという試みが今年もなされました。私も依頼を受けて、準備と消火整理に行かせていただきました。霊牌炭化は概ね成功いたしました。

 河口湖から宇治まではトラックで道具などを運搬して走りましたが、道中、驚かされることは、深緑の山々に枯れてしまった木々が目立つと云うことです。ナラの木の、しかも大木から枯れてしまっているのです。宇治別格本山境内地のナラの大木が三〜四本枯れていました。近頃、広葉樹林のナラの木に発生して問題になっている「ナラ枯れ病」だということです。日本の内陸部から日本海側が特に目立つようです。九州・中国地方から始まった赤松に発生する「松食い虫」の被害も北陸地方まで広がっていますが、それを上回る「ナラ枯れ病」に対する対策は、自然環境をまもるためには、喫緊の課題と思われます。

 先日も、河口湖道場の裏山、天上山の頂上に枝を張る赤松の大木が「松食い虫」の被害を受けて枯れてしまいました。地元から依頼を受けましたので伐採して処理を致しました。伐採した枯れ松は、早い内ならバイオマス燃料として利用することが出来ますが、時期が過ぎてしまいますと、他の木に病原菌が移りますし、燃料にも用材にもなりません。

 里山は人間が手をかけて作った森林ですから、放置しないで手をかけて育てることが必要です。人間と自然が共に助け合って作られ生きてきた里山が、今、人間から見放されて、弱くなったり、人も入れないくらい荒れた里山になっていますから、手をかけて強い森林に蘇らす事が必要でございます。森林蘇生に機会を与えて下さる河口湖町地元の皆様に感謝しつつ日々献労に汗しています。

 素晴らしい大自然の中で開催される富士河口湖練成会は、献労を通して、自然と共に生命萌え立つ練成会です。道場員一同、皆様方のご参加を道場を浄め尽くして心からお待ち申し上げます。

平成23年10月